平均年齢68.4歳ということは農家が後10年もたてば半減し米もとれなくなることを意味する。もし、そこに食糧輸入制限が起きたら日本は半年は持たない。餓死者が続出する事態になります。
chosyu-journal.jp/seijikeizai/28…
東京大学大学院教授・鈴木宣弘
日本の農家の平均年齢は、すでに68・4歳(2022年)。この状態を放置して5年後、10年後に果たしてどれだけの農家・農村が存続しているか。
日本の食料自給率は38%というが、実質はもっと低い。たとえば野菜の自給率は80%でも、その種の9割は海外の畑で種採りされているので、種が止まれば自給率は8%である。さらに化学肥料原料もほぼすべてを輸入に頼っているので、肥料が止まれば収量は半減し、実質自給率は4%になる。
米国の利害にしっかり応えるように農産物の関税撤廃を「いけにえ」として米国に差し出し、その代わりに自動車などの輸出で利益を得る。そうすれば経産省は自分たちの天下り先も得られるからだ。
さらに財務省は、米国の要請に呼応して信じられないほどに農水予算を減らし、「食料など金を出せば買えるのだ。それが食料安全保障だ」という流れを日本の経済政策の主流にしてしまった。この戦後政策の誤りが、今日の食料危機の根幹にある。
–
ハイチでは、IMF(国際通貨基金)の融資条件として、1995年に米国からコメ関税の3%までの引き下げを約束させられ、コメ生産が大幅に減少し、輸入に頼る構造になったところにコメ輸出規制(2008年)が襲い、死者まで出た。フィリピンでも死者が出た。米国の勝手な都合で、世界の人々の命が振り回されたのである。
米国は「安く売ってあげるから非効率な農業はやめたほうがよい」と言って世界の農産物貿易自由化を進める。だが、それによって基礎食料の生産国が減り、米国等の少数国に依存する市場構造になったため、需給にショックが生じると価格が上がりやすくなる。それを見て高値期待から投機マネーが入りやすくなり、不安心理から輸出規制が起きやすくなる。
そのように価格高騰が増幅されやすくなったことが、2008年や今回の食料危機を増幅し、高くて買えないどころか、「お金を出しても買えない」リスクを高めている。
コメント