日本政府は喜んで国民のお金を米国に差し出している。それは日本がアメリカの属国であることを証明している。まさに失われた30年は日本の富をアメリカに貢いだからである。
故・吉川元忠・神奈川大教授は
『円がドルに呑み込まれる日』の中で下記のように書いている。
「『円のドル化』で国民の富が毟られている!」。
国民の富が、米国によって毟(むし)られていくのです。
「軍事同盟より怖い日米経済同盟。日本を亡国へ導く対米マネー献上の恐るべきカラクリを暴く」。
日本国民が一生懸命に働いて稼いで蓄えた金は、米国にむしられて、米国政府と米国の大資本のために使われているのです。
これを日本政府が、喜んでやっているのです。
吉川教授は、『円がドルに呑み込まれる日』でこのカラクリを暴き出しています。
吉川教授は
米国による日本資産搾取戦略を「新帝国循環」と表現して、厳しく批判。
「新帝国循環」=安倍首相の50兆円外債購入ファンド設立
「新帝国循環」
1「新帝国循環」は特別会計の外国為替資金特別会計の資金を使い、円売りドル買いを行う。
2 購入したドルで米国債を買う。
3その結果最終的に日本の資産が米国に奪われる。
安倍首相が総裁を務める自民党は50兆円に上る公算の大きい外債を購入するファンドの設置を検討を表明。
(JPモルガン証券は総額がその2倍になる可能性もあるとしている。)
→日本経済を支えようと円安を誘導するため米国債を買い入れる目的で外債購入ファンドを検討。
植草一秀氏は50兆円の外債購入ファンドを
新たに日本政府が50兆円の資金を米国に上納する売国政策の画策と断じている。
50兆円の外債購入ファンド。
(購入の大半は米国債となる見通し)
1 外債購入ファンドの資金を使い、円売りドル買いを行う。
2 購入したドルで米国債を買う。
3その結果、最終的に日本の資産が米国に奪われる。
「新帝国循環」
(1)米国の国際金融資本などが、外為市場にてドル売り・円買いを仕掛け、日本の経済競争力の強弱にかかわらず、超円高相場を意図的・計画的に創出する、
(2)円高を是正するという名目にて日銀が円売り・ドル買いオペを実施する、ただし、資金は特別会計の外国為替資金特別会計(原資は国民の税金)である、
(3)日銀(日本国民の税金で米国債を買う)や日本の外為金融機関(国民から預かった預貯金で米国債やドル建て金融商品を買う)の引き受けた米ドルにて、米国債を購入する、
(4)大量の米ドルが米国連邦政府に還流する、
(5)米国の国際金融資本はドルを売って得た円にて、円キャリートレードを行うほか、日本企業の株を購入したり、日本企業を買収したり、日本の不動産を購入して日本資産の権利を獲得する、
(6)日銀や日本の外為金融機関の保有する米国債は償還を迎えても、借り換え債などで契約更新していき、日本の対米債権(累積利子含む)は増える一方となる。
なぜなら、米国連邦政府の財政は、常に真っ赤かであり、到底、返済できないからである。
ちなみに、日米関係評論家・副島隆彦氏の試算では日本の対米ドル債権累積は官民にて総額700兆円から1000兆円規模(米国債およびドル建て金融商品含む)に達するようであるが、正確な実態は公表されないので不明である。
完璧ですなあ。
国民の財産は奪われ、その手先となる財務省や日銀、政治家は割り勘勝ちする。
http://enzai.9-11.jp/?p=13747
安倍晋三首相は成人の日の(1/14)、おなじみのアメリカ大使館の目の前のホテルオークラの「山里」にて、「ミサイル屋」として知られる大物米国政治フィクサー=アメリカのトム・ダシュル下院院内総務と、共和党系のトーケル・パターソン元米NSCアジア上級部長(ブッシュ政権時)と会食したとの報道。
その12時間後には、
【安倍政権、米国債50兆円(外債)の購入確約!】
と、ブルームバーグ英語ニュースで報道。
なんという絶妙なタイミング!
国民と自民党との約束
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/seisaku_ichiban24.pdf
021101.jpg
http://blog.goo.ne.jp/ucandoittaku/e/0a2988e83b03571d6cbd6bb695d64257
ドル買い介入で日本国民の財産を流出させる「新帝国循環」
2011-08-08 01:00:00 | 備忘録
(「国富消尽」。吉川教授は直後に急死された)
アメリカの債務上限問題。
8月2日に向けて民主党と共和党がポーカー・ゲームが行われた。
政治パフォーマンス合戦の後は予想通りの手打ちで又しても問題先送りとなった。
そうなるとは思っていてもビビりますなあ。
覇権国家アメリカの基軸通貨であるドルの刷りすぎ。
いずれは大幅な減価になるんでしょうね。
アメリカにとっては痛くも痒くもない。
刷りまくったドルで世界中からモノを買っていた。
借用証書だね、ドルは。
その価値が下落して困るのは売った人達。
アメリカにとっては借金踏み倒しだ。
つまりは買ったものは富として残る。
覇権国の常套手段だ。
大英帝国はインドからの輸入代金をポンド建てインド証券で決済、ルピーを切り上げて踏み倒した。
だから、いつドルが大幅に切り下げられても不思議は無い。
しかしそれは同時に覇権の返上。
ドルの価値が下落すれば、外国で戦争するどころか、日本などに基地を持って世界の警察官なんかやってられなくなる。
大きな変化だ。
しかし歴史の必然でもある。
まあそんなわけで、米国債暴落の危機は今後ずっと付きまとう。
個人的には、有り余ったカネで膨れ上がった株価や石油などの商品のバブルが破裂するとき、
巻き戻しでかなりのドル高になる気がする。
一時的にだ。
それでも、その後のドル下落は避けられない。
さてそんな中での急激な円高。
不美人競争の生き残りだ。
自国の通貨安がいいとは一概に言えないが、先の大恐慌でも各国は自国の通貨を安値に誘導して製造業を守った。
近隣窮乏化作戦だ。
日本は相も変わらず政官報の財政赤字プロパガンダで緊縮財政。
世界中がカネを刷りまくっている中で財政規律を守る。
そんな円が安全資産として買われるのは当然。
円高誘導と同じことだ。
円高になれば輸入品価格が下がりデフレが進む。
景気は落ち込み税収は減り財政赤字は拡大する。
まさに自国窮乏化政策。
連中の言い分はインフレ懸念とか国債暴落、過剰な円安。
あのなあ。
世界で最も安定し金利の低い日本国債。
問題はデフレ。
デフレからの脱却が緊急の政策課題だし急激な円高の是正こそ必要だ。
つまりは円をもっと刷って、価値を低めに誘導すべきだ。
しかし、何たる倒錯。
政府日銀は下がり続けるドルを買い支える。
重力に抵抗して!
国民の税金で!
そして手元に残る米ドルは米国債に変えられる。
日本国民の財産は一時的な円高介入の名のもとに将来著しく減価することが確実な米国債になっている。
下がるものは売るんだよ、買うんじゃなくて。
アホ違う?
こんなことは、何年も前から周知の事実。
仲間の誰に聞いてもそうだという。
何故だ。
日本はアメリカの属国だから、だそうだ。
属国でない中国は米国債の他に石炭・石油・レアメタル等の資産を買いまくっている。
日本はただただアメリカに貢ぐのか。
故・吉川元忠・神奈川大教授の唱える日米間の金融循環を「新帝国循環」と言うらしい。
山本尚利氏が解説している。
(1)米国の国際金融資本などが、外為市場にてドル売り・円買いを仕掛け、日本の経済競争力の強弱にかかわらず、超円高相場を意図的・計画的に創出する、
(2)円高を是正するという名目にて日銀が円売り・ドル買いオペを実施する、ただし、資金は特別会計の外国為替資金特別会計(原資は国民の税金)である、
(3)日銀(日本国民の税金で米国債を買う)や日本の外為金融機関(国民から預かった預貯金で米国債やドル建て金融商品を買う)の引き受けた米ドルにて、米国債を購入する、
(4)大量の米ドルが米国連邦政府に還流する、
(5)米国の国際金融資本はドルを売って得た円にて、円キャリートレードを行うほか、日本企業の株を購入したり、日本企業を買収したり、日本の不動産を購入して日本資産の権利を獲得する、
(6)日銀や日本の外為金融機関の保有する米国債は償還を迎えても、借り換え債などで契約更新していき、日本の対米債権(累積利子含む)は増える一方となる。
なぜなら、米国連邦政府の財政は、常に真っ赤かであり、到底、返済できないからである。
ちなみに、日米関係評論家・副島隆彦氏の試算では日本の対米ドル債権累積は官民にて総額700兆円から1000兆円規模(米国債およびドル建て金融商品含む)に達するようであるが、正確な実態は公表されないので不明である。
完璧ですなあ。
国民の財産は奪われ、その手先となる財務省や日銀、政治家は割り勘勝ちする。
悲しい現実だ、と思う。
そうでないと思う人の説得力のある反論を聞きたいがお目にかかることは無いですな。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-55d0.html
いま、再び日本政府によるSWF創設が水面下で画策されている。
新たに日本政府が50兆円の資金を米国に上納する売国政策の画策である。
現在の円安・株高のシナリオがこのSWF創設と組み合わされている可能性がある。
2002年から2004年にかけて、日本政府が米国に資金を供与して日本株の暴落と暴騰が演出されたのと類似した図式である。
こうした日本から米国への巨大利益供与事案について、日本の主権者国民は、まず事実を認識し、これを絶対に阻止する活動を本格化させなければならない。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGLHAA6JIJVE01.html
FRB議長を安倍首相が手助けか-外債購入ファンド構想で
1月14日(ブルームバーグ):日本経済を支えようと円安を誘導するため米国債を買い入れようとしている安倍晋三首相は、米国債の投資家の中でも米国の無二の親友となりそうだ。
野村証券と岩田一政・元日本銀行副総裁によれば、安倍首相が総裁を務める自民党は50兆円に上る公算の大きい外債を購入するファンドの設置を検討を表明。JPモルガン証券は総額がその2倍になる可能性もあるとしている。日本経済は2008年以降で3度目のリセッション(景気後退)に陥っており、外債購入となればここ4カ月間で12%下落した円をさらに押し下げるとみられる。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ米国債指数によれば、米国債相場は09年以降で最悪の年初スタートとなったが、こうした外債購入はバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の国債利回り抑制の取り組みを手助けすることになる。米連邦公開市場委員会(FOMC)は月450億ドル(約4兆円)相当の米国債の買い入れを決めたが、米国と欧州、中国の経済見通しが改善していることで、相対的に安全な資産とされる米国債の需要が抑制され、米国債は0.5%値下がりした。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントで340億ドル相当の債券運用に携わるファンドマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は8日の電話インタビューで、「日本の米国債購入に米国ががっかりするとは思えない。FRBはあらゆる力仕事をこなしている」と述べた。
http://blog.livedoor.jp/standupjoe1/archives/50224272.html
森田実氏のHP転載
2005.4.3(その1)
2005年森田実政治日誌[88]
小泉・竹中政治を否定することなくして日本の未来なし【その2】――吉川元忠神奈川大学教授の憂国の訴え――『円がドルに呑み込まれる日』は全国民が読むべき本です
「(日本の)財政も金融もいわば滅茶苦茶であるのはなぜなのだろうか。そこには目につきやすい小さな失敗を超えた何か基本的な問題があるのではないだろうか。それは……円・ドル関係の矛盾である。しかもそれを是正しようとせず対米関係を慮るばかりで……その挙げ句日本は深みにはまり、今やどうにもならなくなっている」(吉川元忠『円がドルに呑み込まれる日』「はじめに」より)
『マネー敗戦』の著者、吉川元忠(きっかわ・もとただ)神奈川大学教授の新著『円がドルに呑み込まれる日』(徳間書店、2005.2.25刊)が出版されました。
全国民に読んでほしい本です。ここには真実が書かれています。政府、大新聞、大マスコミが隠しつづけている日本の政治・経済の深層が描かれています。いまの日本で最も大切なことは、国民が真実を知ることです。現在の日本の最大の悲劇は、真実が国民に知らされていないことにあります。
本書の帯にはこう書かれています――「『円のドル化』で国民の富が毟られている!」。国民の富が、米国によって毟(むし)られていくのです。さらにこうつづきます――「軍事同盟より怖い日米経済同盟。日本を亡国へ導く対米マネー献上の恐るべきカラクリを暴く」。
日本国民は、「小泉・竹中」政権の主導のもとに地獄に向かって道を急いでいるのです。この地獄への道を賞賛しているのが日本のマスコミです。まことに愚かです。
日本国民が一生懸命に働いて稼いで蓄えた金は、米国にむしられて、米国政府と米国の大資本のために使われているのです。これを日本政府が、喜んでやっているのです。吉川教授は、本書でこのカラクリを暴き出しています。
「竹中は米国のエージェント」であり「トロイの木馬」である(吉川氏)
吉川教授は、「竹中金融相がなぜ登場したのか」について、次のように述べています(p.112)。
《邦銀やさらにはその不良債権処理によって焙り出されてくる問題企業・物件を米系ハゲタカ・ファンドが入手する。さらにゆくゆくは郵政民営化によって旧郵貯・簡保資金を米系金融機関の意のままに、結局は米国内で使わせるためのエージェントが竹中氏ではないか……》 もう一つ重要な指摘があります。
《アメリカ側が編み出した戦略は、むしろ日本政府の中枢に基本的にその意志に沿って動いてくれる「エージェント」を送り込むことだった……。つまりは竹中平蔵氏という「トロイの木馬」が日本に送り込まれたということである。》
鋭い指摘です。日本国民のためでなく、米国政府のために働いている(とみられている)竹中平蔵氏の本質がズバリ述べられています。
日本の現状への強い危機感
吉川教授は「はじめに」の終わりにこう書いています。
《国内の状況を見ると、TVのニュース番組や経済の専門紙においてすら、もはや借金漬けで動きのとれないアメリカ経済やドルの行方といった問題は存在しないかの如くで、相変わらず「アメリカ経済の成長率は?」といったところに重点がおかれている。日本人が「大本営発表」を信じ込まされ、言論統制されてメディアも総沈黙し、挙げ句の果てに惨めな敗戦に引き込まれた第二次世界大戦と、どこか似ているとはいえないだろうか?
日本や国民の将来は、残された時間に何とかこの状態を脱し、転換の歩みを進めていけるかどうかにかかっている。》
国民が、“日本の真実”を一日も早く知り、いまの小泉・竹中政治がどんなに危険なものであるかを知る上で本書は有益な本です。
日本が「小泉・竹中体制」主導のもとで地獄の道を進んでいることに早く気づかないと、たいへん悲惨なことが起こるおそれが強いのです。
関岡英之(著)「拒否できない日本」(文春新書)
米国政府による日本改造(構造改革)が進んでいる
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu70.htm
2004年5月13日 木曜日
◆日米通商摩擦に発端が
建築基準法の改正は、実は阪神・淡路大震災が起きるはるか以前から決まっていたことなのである。それではこの法改正は、誰の、どのような利害に基づいて決められたのだろうか。一見、純然たる日本の国内問題のように見える建築基準法改正の背景を知ることによって、意外にも日本とアメリカの関係を新たな角度から見つめ直すヒントが浮かび上がってくるのである。日本の建築基準法の「仕様規定」から「性能規定」への歴史的転換のきっかけは、日米通商摩擦にその発端をたどることができるのだ。
阪神・淡路大震災からさかのぼること六年前の一九八九年五月、アメリカは悪名高い通商法スーパー三〇一条を日本に対して発動した。このときスーパーコンピューター、人工衛星とならんで標的にされた三品目のひとつが木材、つまり建築材料だったのだ。この三つの分野で、外国企業の市場参入を阻む不公正を行っているとアメリカは日本を攻撃した。
木材についてアメリカは、日本の建築基準法や製品規格などがアメリカ製木材の輸入を妨害していると非難した。このとき日本政府は、建築基準法は度重なる災害の教訓から日本の稿密な国土の状況に即して定められているのだから緩和する意思はないと抵抗したが、アメリカは一方的な制裁をほのめかせて圧力をかけ続けた。
ついに日本政府は、在米日本大使館の村田大使の名前でアメリカ通商代表部のカーラ・ヒルズ代表宛に書簡を出した。日付は一九九〇年六月十五日となっている。「木材製品に関連して日本政府が講じる措置」というタイトルのその書簡には、日米両国政府問の合意内容として、「建築基準は原則として性能規定とすることが好ましい」と書かれていたという。
◆大震災のどさくさにまぎれて法改正?
私はこれを知ったとき大変驚いた。「仕様規定」から「性能規定」への変更を主眼とする建築基準法の改正は、建築審議会が答申書で法改正を提言する七年も前に、日米両国の政府間ですでに合意されていたのだ。私はそのことを建設大臣官房政策課の監修により一九九〇年に出版された「日米構造問題協議と建設行政」(大成出版社)という資料を読んでいたときに偶然見つけた。そこですぐに日本経済新聞や朝日新聞の縮刷版を調べてみたが、一九九〇年六月前後にこの村田・ヒルズ書簡のことを報道した記事を見つけることはできなかった。
もしマス・メディアに公表されないまま、こうした政府間合意がなされ、あらかじめ決められたシナリオにそって審議会の答申がつくられ、阪神・淡路大震災のどさくさに紛れて法改正までしてしまったことが事実とすれば、これは驚くべきことではないか。審議会の検討作業や国会での審議はいっさい茶番ということになりかねない。あきらかにこれはアメリカからの内政干渉だ。しかもそれが日本の審議会制度などを利用して構造的に行われていることになる。
◆アメリカの公文書には堂々と記録
しかし不思議なことに、アメリカの公文書にはこのことが至極当然のことのように堂々と記録されているのだ。例えばアメリカ通商代表部が作成した『外国貿易障壁報告書』二〇〇〇年版には、日本の建築基準法の改正がアメリカ政府の要求に応じてなされたものであると、はっきりと書かれている。そして通商代表部は、この法改正が「アメリカの木材供給業者のビジネス.チャンス拡大につながった」と、自らの手柄として自画自賛しているのである。
建築基準法の改正以外にも、たとえば賃貸住宅市場の整備を目的とする「定期借家権制度」の導入や、中古住宅市場の活性化を目的とする「住宅性能表示制度」の導入なども、アメリカの建築資材供給業者のビジネス・チャンスを拡大することを目的とした、アメリカ政府の日本政府に対する要求によって実現したものであると堂々と宣言されている。
日本の国内では、建築基準法の改正や住宅性能表示制度の導入は、阪神・淡路大震災での被害の大きさからの反省や手抜き工事による欠陥住宅の社会問題化などがきっかけとなって日本政府内で検討が始められ、導入が決定されたものだと理解されている。それは日本の国民の安全と利益のためになされたはずだ。
しかし実はこれらの法改正や制度改革が、日本の住宅業界のためでも消費者のためでもなく、アメリカの木材輸出業者の利益のために、アメリカ政府が日本政府に加えた外圧によって実現されたものであると、アメリカ政府の公式文書に記録され、それが一般に公表されている。
◆日本国民には知らされていない
どうしてこのような奇怪なことが起きているのだろうか。日本の法改正や制度改革の決定プロセスには、アメリカの介入を許すようなメカニズムが存在しているのかもしれない。そしてどうやらわたしたち一般の国民は、そのことをきちんと知らされているわけではないらしい。建築基準法の改正を提言した答申書を隅から隅まで読んでみても、アメリカ政府が介在していることなどもちろんひとことも書かれていない。法改正のニュースを侯えた新聞報道でもいっさい触れられていない。当のアメリカ政府自身が公式文書でそのことを堂々と公表しているというのに。
◆数年後の日本を知る必読の文献
これから数年後の日本に何が起きているか。それを知りたいと思ったとき、必読の文献がある。アメリカ政府が毎年十月に日本政府に突きつけてくる『年次改革要望書』である。日本の産業の分野ごとに、アメリカ政府の日本政府に対する規制緩和や構造改革などの要求事項がびっしりと書き並べられた文書である。
『年次改革要望書』では、最近まで五つの優先分野が指定されていた。通信、金融、医療機器.医薬晶、エネルギーとならんで住宅分野がそのうちのひとつだったのだ。しかし二〇〇一年版以降の『要望書」からは住宅分野が優先分野から姿を消した。住宅分野に関しては、アメリカは欲しい物をすでに手に入れた、というわけである。
住宅分野に関してアメリカ政府が日本政府へ要求していたのは、ひとことで言えば木材製品の輸入拡大、ということに尽きる。もともと日本はアメリカにとって木材製品の最大の輸出市場なのだが、アメリカはビジネス・チャンスを更に拡大しようとして、過去数年さまざまな要求を日本に突きつけていたのである。日本政府がこれまで建築基準法の改正、「定期借家権制度」の導入や「住宅性能表示制度」の導入など一連の規制改革を進めてきた最大の理由はここにあったのである。
◆日本政府はなぜ外国業者の利益をはかるのか
私はなにもそれをインサイダー情報や内部告発などによって知ったのではない。アメリカの情報公開法のお世話になったわけでもない。アメリカまで行く必要さえなかった。自宅に居ながらにして、インターネットで誰にでも公開されているアメリカ政府の公式サイトから簡単に知ることができた。アメリカ政府自身が、その事実を公式文書のなかで堂々と公表しているのだから。
それにしても日本の政府はなぜ、外国業者のビジネス・チャンスを拡大するために、審議会に諮問して答申書をつくらせた上で法改正まで行うという、手の込んだ手続を踏んでいるのだろうか。なぜそこまでする必要があるのか。
◆クリントン政権の考え出した「年次改革要望書」
そもそもこの『年次改革要望書』とはいったいどういうシロモノなのか。日本とアメリカとの外交関係において、それはどのように位置づけられているのだろうか。アメリカ通商代表部の『外国貿易障壁報告書』二〇〇〇年版に、『年次改革要望書』というものが毎年提出されるようになったいきさつが書いてある。それによると、これは一九九三年七月の宮沢首相とクリントン大統領の首脳会談で決まったことらしい。
個別産業分野の市場参入問題や、分野をまたがる構造的な問題の是正を日本に迫るための、アメリカ政府の包括的なアプローチである、と説明されている。わかりやすく言えば、アメリカが日本に外圧を加えるための新しい武器として、クリントン政権が考え出したもの、ということらしい
この宮沢・クリントン首脳会談のときの政府間合意を根拠として、一九九四年に最初の『年
次改革要望書』が提示された。それは三十二ぺ-ジの英語の文書で個別産業分野としては農業、自動車、建築材料、流通、エネルー、金融、投資、弁護士業・医薬・医療・情報通信など、分野横断的なテーマとしては規制籍や行政改革、審議会行政や情報公開・独占禁止法と公正取引委員会、入札制度や業界慣行、そして民事訴訟制度などが網羅され・まさに日本の産業、経済、行政から司法にいたるまで、そのすべてを対象にさまざまな要求を列挙したものだった。
◆マス.メディアが今まで報道しなかったこと
日本政府も同時にアメリカ政府に対する要望書を提出することになっていて・表面上は対等かつ双方向という建前になっている。しかしもともとこの要望書は外圧の一手段としてアメリカから提案されたものだ。ことの発端からして双方向ではなかったのである。
外務省の公式ホームページには、日本政府が毎年アメリカ政府へ送った『年次改革要望書』は掲載されているが、アメリカ政府が日本政府へ提示した方は公開されていない。不思議なことにマス.メディアでも従来このことはほとんど報道されていないのだ。
二〇〇三年十月にもアメリカ政府から日本政府へ『年次改革要望書』が出されているが、なぜか主要な新聞はそのことを報道しなかった。二〇〇一年十月のときは・シンガポールで開催されたWT0」の非公式閣僚会議の際に田中真紀子外務大臣(当時).がゼーリック通商代表部代表と『年次改革要望書』を交換し合ったということを、十月十五日付けの日本経済新聞が小さなベタ記事で報道した。
しかし「米国側の要望内容は明らかになっていない」として、内容にはいっさい踏み込んでいない。日本の将来にとってこれほど重要な意味を持つアメリカ政府からの公式文書である『年次改革要望書』の全文が日本のマス・メディアで公表されたことはないのだ。それでは、アメリカ政府が日本政府に毎年どんな要求を突きつけているのか、われわれ一般の国民はどうやったら知ることができるのだろうか。
◆内政干渉を隠そうともしないアメリカ
種明かしをすればどうということはないのだ。アメリカ政府の日本政府に対する『年次改革要望書』は誰でも簡単に読むことができるのである。全文が日本語に翻訳され、在日アメリカ大使館の公式ホームページで公開されているからだ。過去数年のバックナンバーも、すべてそこで日本語で閲覧することができる。
私は大学院の修士論文を書くために、建築基準法の改正についてインターネットでいろいろ調べているときに偶然それを見つけたのだ。なるほどアメリカという国は堂々と構えているものだ。内政干渉の事実を隠そうともしない。伏せようと努力しているのは、干渉している側ではなく、もしかしたらされている側の方なのかもしれない。
◆要求の進捗状況は日米当局者が点検
『年次改革要望書』は単なる形式的な外交文書でも、退屈な年中業事でもないアメリカ政府から要求された各項目は、日本の各省庁の担当部門に振り分けられ、それぞれ内部で検討され、やがて審議会にかけられ、最終的には法律や制度が改正されて着実に実現されていく。受け取ったままほったらかしにされているわけではないのだ。
そして日本とアメリカの当局者が定期的な点検会合を開くことによって、要求がきちんと実行されているかどうか進捗状況をチエツクする仕掛けも盛り込まれている。アメリカは、日本がサボらないように監視することができるようになっているのだ。
これらの外圧の「成果」は、最終的にはアメリカ通商代表部が毎年三月に連邦議会に提出する『外国貿易障壁報告書』のなかで報告される仕組みになっている。アメリカ通商代表部は秋に『年次改革要望書』を日本に送りつけ、春に議会から勤務評定を受ける、という日々を毎年過ごしているわけである。(P47-P53)
関岡英之(著)「拒否できない日本」(文春新書)
(私のコメント)
私はこれまでも日本がアメリカの植民地であり、日本にある政府はアメリカ政府から見れば一地方の行政府にしか過ぎないと書いてきました。日本の総理大臣や外務大臣は飾り物でしかない。しかしこのように書いても単なる民族主義者のプロパガンダとしてしか受け止めてもらえなかった。しかし関岡氏の「拒否できない日本」と言う本を見れば、日本がどのようにアメリカによって統治されているかが良くわかる。
日本にももちろん国会がありますが、重要な法案ほど日本の国会では審議することが出来ない。五十年以上も日本国憲法は改正されることもなく店晒しにされている。安保条約と平和憲法とはセットとなって日本を縛り、真の独立国としての体をなしていないのだ。同じ敗戦国のドイツは着々とヨーロッパの明主として地位を固めているのに、日本は敗戦国のままなのだ。
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