“中国人向けビザ緩和”を押し切り

 仲間内で「イワヤン」と呼ばれる岩屋毅外相が、急速に評判を低下させている。

 

 政治部デスクが解説する。

「政府は中国人向けのビザ発給要件を緩和する方針ですが、これは岩屋氏が昨年12月に訪中した際に表明した措置。外務省内の“外交カードは残しておくべきだ”との慎重論を岩屋氏が押し切りました」

 1月21日の自民党外交関連の会合では「オーバーツーリズムを招きかねない」「事前に党側へ説明がなく認められない」などと、強い反発の声が相次いだ。

「会には、反石破と目される萩生田光一元政調会長の姿も。彼の出席は異例で、“親中派”の岩屋氏にくぎを刺すのが目的だったとうわさされました。石破茂首相の周辺は“中国人ビザ問題が政局に利用される”と警戒を強めています」

岩屋毅外相

更迭に向けた動きが加速

 これらの声に岩屋氏は「多分に誤解がある。具体的な内容を正確に理解していただけるよう丁寧に説明していきたい」と弁明。それでも党内保守強硬派は「どうやれば岩屋を降ろせるか」と、更迭に向けた動きを加速させているという。

「そもそも昨年末の中国訪問には、政府与党はもとより、省内からも強い疑問の声が上がっていたんだ」

 とは外務省の中堅幹部。

「中国は対中強硬派のトランプ米政権が発足する前に、日本との関係の深さを世界に示したかった。狙いは米国へのけん制で、岩屋大臣の訪中はそんな中国の意に沿うもの。省内にも“いまは行くべきでない”との意見があったのに……」

対米外交でも“大失態”

 岩屋氏には、対米外交でも致命的な失態があった。

「1月20日にトランプ大統領の就任式に出席し、翌21日にはルビオ国務長官との会談に臨んだ。一見、順調な滑り出しだが、就任式当日に行われた、とある人物との面会が日米外交当局の間で問題視されている」

 相手は共和党における国防戦略の専門家で、かつてブッシュ(息子)政権の国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏だった。

「いまも米国の外交や安全保障政策に影響力を持つ重鎮で、日本に知己が多いことでも知られる。日米関係の良き理解者である一方、トランプ批判の急先鋒という顔も持つ人物ですね」

「石破首相に似て不勉強なのに目立ちたがり」

 外相経験者も苦笑する。

「よりによって就任式の当日に、大統領の神経を逆なでしている相手と面会するとはね。外務省にセッティングした理由を尋ねたよ」

 それによると、

「会談は岩屋が自分でセットしたそうで、自分に独自のパイプがあるとアピールする狙いだったとか。ここまで外交センスが欠如していたとは驚きだよ」

 岩屋氏は防衛相経験もある国防族の一人。が、“身内”からの評判も芳しくない。

「岩屋は石破首相に似て、不勉強なのに目立ちたがり。主張も野党に近く、集団的自衛権の行使を可能にする平和安全法制の制定や、反撃能力の保有にも消極的。防衛相だった平成30年に起きた、韓国軍艦の海自機に対するレーダー照射事件を韓国国防相との会談で不問として批判を浴びた」(国防族議員)

「至誠通天」「寧耐成事」「敬天愛人」……。座右の銘すらコロコロ変えることでも知られる岩屋氏に、外交・安保は荷が重かろう。

「週刊新潮」2025年2月6日号 掲載