早くも米中対立が始まった…!トランプvs.習近平の緊張が「パナマ運河」で高まる「ヤバすぎるワケ」

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大統領七無室で法案にサインするトランプ大統領 アメリカ

早くも米中対立が始まった…!トランプvs.習近平の緊張が「パナマ運河」で高まる「ヤバすぎるワケ」

緊迫の「米中電話会談」

トランプ政権の発足で、米中関係の緊張が高まるのは避けられないかもしれない。対立はアメリカの「核心的利益」を巡って深まるだろう。

国務長官に就任したルビオ氏は1月24日、中国の王毅外相と電話で会談した。

マルコ・ルビオ米国務長官 Photo/gettyimages

王氏が「台湾を始めとする中国の『核心的利益』に米国側が慎重に対処する」ことを求めたのに対し、ルビオ氏は「米国民を第一に考える米中関係を追求する」と応じた。

ルビオ氏は指名承認のための公聴会で「中国依存を脱却して米国の利益を重視する外交政策を推進する必要がある」と訴えていた。

始まった「パナマ運河」の攻防

ルビオ氏が初の外遊先に選んだのは中米諸国(パナマ、グアテマラ、ドミニカ共和国、コスタリカ、エルサルバドル)だ。

「中国に対抗することが中米歴訪の目的の1つ」であることを明らかにしている。国務長官の外遊は同盟国で始まるのが慣例だが、ルビオ氏の異例の対応はトランプ政権が中南米地域を重要視していることの証左だ。

パナマ運河 Photo/gettyimages

トランプ大統領は、「1999年に米国がパナマに運河の管理権を移譲した際に交わした中立の誓約をパナマ政府が破り、中国が運河を運営している」と繰り返し主張している。

パナマ運河は米国にとって重要性が高い。米国発着の貨物船の40%が利用するほか、大西洋と太平洋の間で配置換えをする米海軍艇のほぼ100%が通過している。

一方、中国は米国に次ぐパナマ運河の利用国となっており、香港の海運最大手ハチソン・ワンポアがカリブ海側と太平洋側の玄関に位置する港の独占的管理権を保有している。

 

緊張が高まる「本当のワケ」

米連邦議会上院の超党派議員グループは1月28日、パナマ運河に対する中国の影響力への懸念を表明した。

中でもクルーズ上院議員(共和党)は「中国系企業は両端のコンテナ港を管理しており、中国政府は警告なしに運河を封鎖することが可能になっている」と警戒感を露わにしている。

実は、パナマ運河をめぐる米中の対立は、根が深い問題である。パナマ運河の歴史的経緯を振り返れば、さらにアメリカの胸の内まで見えてくるだろう。

それだけに、中南米は、米中対立は米国の「核心的利益」を巡って、緊張が高まりやすい地域になっている。

つづく後編記事『トランプが習近平に激怒した「パナマ運河」をめぐる対立がヤバすぎる…!中国が仕掛けた「中南米」の危険な罠』では、その理由についてじっくりと解説していこう。



トランプが習近平に激怒した「パナマ運河」をめぐる対立がヤバすぎる…!中国が仕掛けた「中南米」の危険な罠

米中の火種となる「パナマ運河」

米中の緊張関係は、南米を巡って高まるかもしれない。

前編『早くも米中対立が始まった…!トランプvs習近平の緊張が「パナマ運河」で高まる「ヤバすぎるワケ」』で紹介したように、対立はアメリカの「核心的利益」を巡って深まるだろう。

火種になりかねないのは「パナマ運河」である。

パナマ運河 Photo/gettyimages

トランプ大統領は「1999年に米国がパナマに運河の管理権を移譲した際に交わした中立の誓約をパナマ政府が破り、中国が運河を運営している」と繰り返し主張している。

パナマ運河は米国にとって重要性が高い。米国発着の貨物船の40%が利用するほか、大西洋と太平洋の間で配置換えをする米海軍艇のほぼ100%が通過している。

一方、中国は米国に次ぐパナマ運河の利用国となっており、香港の海運最大手ハチソン・ワンポアがカリブ海側と太平洋側の玄関に位置する港の独占的管理権を保有している。

ヒスパニック系初の国務長官となったルビオ氏は、社会主義のキューバを嫌ってフロリダ州マイアミに渡った両親を持つ移民2世だ。

中南米の左派政権に対して非常に厳しい立場を取り続けている。現在、中南米諸国の多くは左派政権が樹立され、米国は同地域での主導権を失っており「ルビオ氏に課せられた使命は米国の『裏庭』における反米勢力の一掃だ」との指摘がある。

実は、パナマ運河をめぐる米中の対立は、根が深い問題である。パナマ運河の歴史的経緯を振り返れば、さらにアメリカの胸の内まで見えてくるだろう。

中南米とアメリカ

トランプ政権は、西半球重視の外交を展開しようとしている感が強いが、この方針は米国の歴史に深く根ざしたものだ。

1823年、当時のモンロー大統領が「西半球は欧州の干渉から解放されるべきだ」と宣言したように、米国の初期の外交政策は広大な西半球で自国の利益を確保することに重点を置いていた。

トランプ米大統領 Photo/gettyimages

その後も、米国の外交政策は「中南米地域を自国のコントロール化に置くことは当然だ」との考えに基づいていたが、この西半球重視の伝統は1970年代後半から徐々に薄れていった。

1977年、当時のカーター大統領がパナマ運河の領有権をパナマ政府に返還する決定を行ったのがターニング・ポイントだった。20世紀初めに米国の資本で建設されたパナマ運河は長らく米国政府の管理下にあったが、カーター氏は議会の反対を押し切り、わずか1ドルの対価でパナマ政府に運河の主権を譲ったのだ。

米国はこれ以降、西半球を「過去の政策の失敗」という観点から捉えるようになった。 

かつて歴史的な偉業と称賛されたパナマ運河建設は、米国の帝国主義を示す悪例として批判され、冷戦時代におけるグアテマラやチリーでのクーデター関与や、軍事力を誇示して交渉を有利に進めようとした20世紀初めの「砲艦外交」も過去の汚点とみなされるようになった。

 

間隙を縫う中国「南米外交」

21世紀に入ると、米国がイスラム主義者によるテロとの戦いに気を取られるようになったために、中南米地域への関与はますます手薄となった。

その間隙を縫うように、中南米地域で存在感を高めたのが中国だった。

中国の中南米との貿易量は2000年から22年間で35倍に拡大し、同地域の多くの国々にとって最大の貿易相手国となっている。西半球の20ヵ国以上が中国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」に参加しており、中国は18ヵ国の港湾施設に大規模な投資を行っている。中国のプレゼンスが特に高いのが南米地域だ。

新たな海上輸送ルートの開設がさらに追い風となっている。

中国国有海運最大手がペルーの首都リマ郊外にあるチャンガ港を拡張したことでメキシコや米国西海岸での積み替えが不要となり、中国と南米の間の輸送期間が10日以上も短縮した。

ブラジルやボリビア、アルゼンチンなどで人民元決済も始まっている。

 

アメリカの急所を押えた中国

中国の軍事面でのプレゼンスも高まっている。

米国から約150kmしか離れていないキューバに情報収集施設を建設し、ブラジルにも軍を派遣して合同演習を行っている。

中国は南米へのプレゼンスを高めている Photo/gettyimages

南米に比べてメキシコ、中米、カリブ海諸国における米国の影響力は依然として強いが、不法移民対策などで強硬策をとれば、中米地域も中国寄りになる可能性は否定できない。歴史を振り返れば、米中国交正常化後の半世紀は、米国が自身の核心的利益(中南米地域)を軽視してきた時期にほぼ一致する。

 

「火薬庫」となりかねない中南米

トランプ政権は「帝国主義的だ」と批判されているが、米国の外交政策は建国以来、一貫して帝国主義的な要素があったことを見逃してはならない。

本来の姿に「先祖返り」しつつある米国の動きに中国が機敏に反応できなければ、中南米地域の覇権を巡って両国間で深刻な対立が生じてしまうのではないだろうか。

さらに連載記事『中国EVの「弱点」が発覚して販売台数が激減…!国民の不満を映す「中国版お年玉」の寒すぎる事情』では中国の経済事情について解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。



中国EVの「弱点」が発覚して販売台数が激減…!国民の不満を映す「中国版お年玉」の寒すぎる事情

苦境がつづく中国経済

中国の今年の春節は案の定、期待外れに終わった。

春節は本来、中国人にとって心身をリラックスさせる期間だが、今年は「いつ雇い主から『仕事に戻ってこなくてもよい』と言われるかわからない」という不安を多くの人々が抱える中での年越しとなった。

春節を祝う上海の電光掲示板。今年は「厳しい年越し」となった…Photo/gettyimages

中国メディアは「失業や賃金カットの嵐が吹き荒れる状況下で『とても新年を祝う気分にはなれない』との嘆きが中国全土を覆っている」と報じていた。2000年以降の不動産ブームのおかげで大都市住民の多くが労せずして億万長者になったが、不動産バブルの崩壊であっという間に虎の子の財産を喪失してしまった。

春節期間中、一家だんらんや宴会を行い、「発財おめでとう」とあいさつを交わし、お金が入った赤い封筒(紅包)を渡し合うことが当たり前の光景だったが、今年の「紅包」には、どのくらいのお金がはいっていただろうか。懐事情が厳しい中、かつてのように膨らんでいたとは考えにくい。

「中国EV」を襲った大寒波

中国経済が苦境に陥る中、唯一気を吐いているのは自動車産業だ。

昨年の中国の自動車販売台数、生産台数はともに3000万台を超え、15年連続で世界第1位となった。昨年の自動車輸出台数も491万台と日本を抜いて世界一となった。

自動車産業を牽引するのは、電気自動車(EV)を始めとする新エネルギー車だ。昨年の販売台数は前年比38%増の950万台と9年連続で世界1位の座を堅持している。中国経済の期待を一身に集めるEVだが、ここに来て減速感が生じている。

中国自動車協会が2月8日に発表した1月の国内自動車販売台数は205万台で前月比14%も減少したが、足を引っ張ったのがEVだった。1月のEV販売台数は前月比47%減の40万台と低迷したのだ。その理由として挙げられるのは、1月に襲来した大寒波の影響だ。

 

露見した「中国EVの弱点」

今年1月、中国では北部を中心に氷点下の状態が続いた。急速充電の効率が低く、走行距離が限られるEVは、厳しい気象条件の下では不向きだと判断されたことが災いした。

一部のEVが凍結した路面に適していない設計になっていたことも、消費者の購買意欲を低下させたと言われている。

さらに連載記事『「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」…!中国に使い捨てられた「EV墓場」が次々と生まれる「深刻なワケ」』では、春節の交通渋滞で明らかとなった中国EV車の弱点について、詳しくお伝えしよう。

 

「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」…!中国に使い捨てられた「EV墓場」が次々と生まれる「深刻なワケ」

中国にまたEV墓場が生まれる…

満身創痍の中国経済にとってEVは頼みの綱だが、その勢いにかげりが見え始めている。

前編『中国EVの「弱点」が発覚して販売台数が激減…!国民の不満を映す「中国版お年玉」の寒すぎる事情』で紹介したように、205万台にとどまり前月比14%も減少した。その主要因がEV販売台数の低迷で、前月比47%減の40万台と大幅に減少したのだ。その理由として挙げられているのは、1月に襲来した大寒波の影響だ。

今年の春節は、中国経済の低迷が随所に感じられた Photo/gettyimages

1月には中国北部で氷点下がつづいたが、厳しい気象条件では走行距離の限られるEVは、敬遠されたようだ。一部のEVが凍結した路面に適していない設計になっていたことも消費者の購買意欲を低下させたと言われている。

業界関係者は「冬の寒さの影響が薄らぐ3月以降は販売台数が回復する」と楽観視しているが、はたしてそうだろうか。

現場の販売担当者が「スマートフォンのようにEVを買い替える若い消費者が続々と来店する」と指摘しているように、中国ではZ世代がブームの中心にいる。

このため、中国のEVはスマホのように頻繁にモデルチェンジを繰り返すようになっており、その結果、使い捨てられたEVの「墓場」が各地で出現している。このような状況を踏まえ、中国の専門家は「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」と危惧を抱くようになっている。

EV人気に陰りが見え始めている…Photo/gettyimages

春節大移動で「中国EV」の弱点が見つかった!

実際の購入者からも「EVには優遇措置があるが、ガソリン車と比べてメンテナンスコストが依然として高い。3年以内はEVを選ぶな」などの厳しいコメントが相次いでいた(1月18日付RecordChina)。

「弱り目に祟り目」ではないが、EVへの逆風は春節期間中にさらに強まった。

 

高速道路の通行が無料になったため、節約意識を強める多くの中国人がEVでの移動を選択したことにより、EVの脆弱性が一気に露呈してしまったのだ。

「帰省中に6回の充電のために8時間を費やす」などのトラブルが頻発し、「そもそもEVを買うべきだったのか」との不満がネット上を埋め尽くした。春節期間中に「EVの問題発生件数はガソリン車よりも40%多かった」との衝撃的な調査結果も公表されている(2月13日付RecordChina)。

国民の不満の矛先は「台湾」へ

「EVは環境に優しい」との認識から中国で一大ブームが巻き起こったが、「不都合な真実」が次々と明るみになっている今、逆風はさらに強まることだろう。

「頼みの綱」のEVが失速するような事態となれば、中国経済は総崩れだ。中国人の経済面でのプライドは粉々になってしまう可能性は排除できなくなっている。

 

気がかりなのは、バブル崩壊後の日本で排外主義的な傾向が強まったように、現在の中国でも「海外の敵」を日々の不満のはけ口にしようとする動きが出ていることだ。

1月13日の台湾総統選挙で中国が「独立派」と敵視する民進党政権の続投が決まったことを受けて、中国の人々の間で「台湾の武力統一」を早期に求める声が広がっている(1月18日付時事通信)。

北京の天安門広場を警護する人民解放軍の儀仗兵 Photo/gettyimages

習近平指導部が軍内部の汚職摘発を優先課題としていることもあって、中国軍による台湾への上陸作戦は現時点では不可能だとの見方が一般的だ。

中国政府も過激な世論の沈静化に努めているとみられていたが、ある「異変」が春節特別番組で起きていた。

 

火に油を注ぐ「排外的愛国主義」

春節特別番組とは、中国中央テレビ(CCTV)が毎年放映している「春節連歓晩会」。1983年から放映されている国民的娯楽番組で「中国版の紅白歌合戦」といっていいだろう。

9日に放映されたこの番組に、春節特別番組の舞台に人民解放軍第66477機甲部隊の将兵が小銃を持って登場し、ミサイルの一斉射撃などの画像を背景に軍歌を合唱したのだ。42回目を迎えたこの番組に、中国軍の実戦部隊が登場したのは今回が初めてのことだという。

 

「台湾を威嚇する政府の狙いがあった」とされているが、中国人のショービニズム(排外的愛国主義)の火に油を注いでしまったのではないかとの不安が頭をよぎる。

「病める獅子」と化しつつある中国の動向について、細心の注意を払う必要性がますます高まっているのではないだろうか。

さらに連載記事『習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、トランプ復活が現実味を帯びる中、新たな火種となりかねない問題について詳しくお伝えする。


以下略

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