森永卓郎が残した「最期の喝」

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この国でそれでも生きて行く人たちに 政治・経済

森永卓郎が残した「最期の喝」

「日本は身分の高い人間に特権が用意されている!」 富裕層が優遇されている「日本の欠陥制度」の中身

今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。

原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。

「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」

彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。

森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。

『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第3回

『森永卓郎さんが憤った「日本人の労働者」の現状…それでも「この国で生きていく人たち」への最期のメッセージ』より続く。

日本で金持ちに与えられる「特権」

「日本は身分社会」だと書いたが、なぜそうなっているかというと、身分の高い人間に「特権」が用意されているからだ。

たとえば、日本の金持ち層は税制面で大きく優遇されている。俗に「1億円の壁」と呼ばれているが、年収1億円までは累進課税で税負担が重くなるのに対し、年収1億円を超えると、逆に税負担が軽くなる。

年収1億円を超えるような高所得者の場合、所得の大半を占めるのは「株の売却益」や配当金などの金融収益だ。ただ、株で得た利益は「分離課税」の対象となるため、税率は約20パーセントとなり、所得税・法人税より税率が安くなるわけだ。

森永卓郎氏


明らかにおかしい話だが、これを変えようという気運は盛り上がらない。

こうした不平等な制度を改め、富裕層の税負担をもっと重くすべきだ。そのためには、金融所得への課税を強化することも必要だろう。どうせ庶民の金融所得はNISAの枠内で収まるので、課税が強化されても痛くないのだから、どんどんやるべきだ。

この話をすると、「金融所得には累進課税できない」と言って反対する人がいるのだが、実はアメリカでは、連邦税は三段階の税率が設定されており、州・地方政府税については総合課税になっている。

アメリカでやっているのに、日本でできない理由はないはずだ。

富裕層は消費税も払っていない

消費税には還付金という仕組みがある。簡単に言うと、預かった消費税より、仕入れ時に支払った消費税のほうが大きい場合、差額を還付する制度だ。

つまり、会計上のテクニックを駆使して、多くの出費を経費にしていくと、消費税を支払うどころか、還付を受けられる場合も出てくるわけだ。

もちろん、サラリーマンの場合、確定申告していないので、消費税の節税は不可能だ。一方、富裕層の多くは自分の会社を持っているので、さまざまなテクニックを使って消費税の負担を逃れている。

彼らがよく使う節税方法の一つに、高級ホテルの活用がある。

都心部には外資系などの高級ホテルがたくさんあるが、そうしたホテルを利用しているのは、旅行で1泊、2泊と利用する人よりも、長期契約している富裕層が多いという。無論、ホテルの宿泊費を会社の経費にして節税するために使っているのだ。

Photo by gettyimages


このように、会社の経費かプライベートかを曖昧にする方法は、多くの富裕層が使っている基本テクニックだ。

ちなみに元日産会長のカルロス・ゴーン氏は、2016年10月に妻との結婚披露パーティーをベルサイユ宮殿で開き、その費用5万ユーロをルノーに支払わせていた。

ゴーン氏は2014年3月に日産・ルノーのアライアンス15周年を記念するパーティーをやはりベルサイユ宮殿で開いているが、この費用60万ユーロも、日産とルノーに払わせている。このパーティーも、日付がゴーン氏自身の誕生日であったので、事実上「ゴーン氏の誕生日パーティー」だった疑惑が報じられた。

このように、富裕層はあの手この手で税負担を逃れている。

「富裕層はたくさん税金を払い、寄付をしているので、社会に貢献している」は間違いということだ。

『親が“お金持ち”でないと「東大」には行けない…森永卓郎が最期に提案した「親の所得が子どもの最終学歴を決める理不尽な時代」を根本から変える「画期的な方法」』へ続く。

 
 
この国でそれでも生きていく人たちへ (講談社+α新書)
森永卓郎が全日本人と息子康平に遺す激動の時代を生き抜く知恵と心のありかた。金、生き方で道を誤らないための最期の提言!原発不明がんと闘いながらベストセラーを執筆し続ける森永卓郎と、現場感を重視した実践的な独自の経済学を展開する息子の康平が、い...

マイコメント

政治家は政治資金法により政治家の支持団体を作れば、資産への課税を逃れることが
出来ると定められているのでその方法を使って節税(節税と言うより脱税に近いの
だが・・・)している。

また、官僚でも天下り先から億単位の給与をもらえれば今回の指摘にあるように株で
その税金を減らせるというメリットを甘受できる。

このように最初から仕組まれた制度だったということです。
しかし、億単位の資産を持つ一般人であっても政府に逆らうと脱税容疑で身ぐるみ引き
剥がされるようになっている。

すべてが官僚と政治家、そして富裕層を守り、彼らの支配を強固にするためのもので
金がない一般国民には逆立ちしても出来ない仕組みになっている。

ようするに、日本は何度も書いているように開かれた自由主義社会ではなく官僚による
社会主義国家だということがその真実です。

いくら努力しても報われない社会ならもうそこにいる必要がないし、無意味なことなの
だから、早くこの社会を離れる決心をした方が良いように思います、

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