アメリカで米5キロ2100円 日本より安い「価格逆転」の驚き
アメリカはインフレなのになぜ安い日本のお米!日本からの輸入米は5kgで平均3700円とインフレを考えると安い!
昨夏の「令和の米騒動」から高止まりする米価を巡り、在米日本人から驚きの声が上がっている。歴史的な物価上昇(インフレ)に見舞われている米国内で買うコメの方が割安なためだ。日本産のコメを、輸入の方が安く購入できる逆転現象すら起きている。
「5キロ=4000円近くならかなり高級米のはず。信じられない」。米東部メリーランド州に夫と子ども4人で暮らす日本人女性(40)は、最近の日本国内のコメの平均小売価格を聞いて驚きを隠せない。
米国では、西部カリフォルニア州で生産されるブランド米「錦」が現地在住の日本人の間で人気を集めている。かつてのカリフォルニア産米は一粒が細長くてパサつき、チャーハンやパエリア向けのイメージが強かったが、錦は日本人好みのモチモチした食感が特徴。すし屋を含め日本食レストラン向けの需要も増えているという。
日本食専用のネット通販やアジア系スーパーでの店頭価格は、2月下旬時点で15ポンド(約6・8キロ)あたり17・99ドル(約2700円)。5キロ入り約2100円の計算で圧倒的に安い。
日本からの輸入米も同様に割安だ。「食材の中でコメには特にこだわる」と話す女性は、現地で日本産コシヒカリを購入するが、それでも5キロ入り25ドル(約3700円)。農林水産省によると、全国のスーパーでのコメの平均小売価格は、2月10~16日に5キロあたり3892円。これより安い価格で、日本を代表する高級輸入米を購入できていることになる。
日本のコメの小売価格は2024年6月ごろまでは5キロあたり2000円強程度だった。だが、店頭の品薄が顕在化した昨夏の「米騒動」を機に価格が高騰。新米が出回り始めた秋以降、供給不足は解消されたはずだが、価格の先高感を見越した一部の農家や卸業者が「出し惜しみ」した結果、現在も値上がりが続いている。
メリーランド在住の別の日本人女性は「日本では家計が厳しい時はコメと納豆で何とかしのぐという感覚だった。だが、そこまで値上がりしたら、この節約術も使えない」と嘆く。数十年にわたりデフレ状態が続いた日本から渡米した2人の女性にとって、母国の身近な食材価格の変容ぶりは衝撃となっている。
米国の値段を上回る日本食材はコメだけではない。天候不順の影響で品薄となった日本のキャベツは現在1玉500円超に値上がりしているが、メリーランドのアジア系スーパーで売られていたキャベツは1ポンド=0・79ドル。小ぶりだが、身の詰まった1玉を選んで計量器にかけると3・8ポンドで約3ドル(約450円)だった。
米国のインフレ率は22年6月(前年同月比9・1%上昇)をピークに鈍化し、直近の25年1月は3・0%だった。これに対し日本の同じ月のインフレ率は、米価高騰が影響し4・0%と米国を大きく上回る。発表直後に米CNBCテレビが「日本のインフレ、ここ2年間で最高の水準」と速報するなど、「周回遅れ」のインフレが驚きを持って受け止められている。
農水省は米価対策として政府備蓄米の市場放出を決定したが、専門家の間でも、値下げ効果やその持続性を巡って見解が分かれており、国内外の日本人の戸惑いは今後も続きそうだ。
【ワシントン大久保渉】
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