大阪・関西万博まで1カ月で異常事態 リングの盛り土が削れ浸水被害の恐れか·

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大阪万博で浸水被害 大阪万博

大阪・関西万博まで1カ月で異常事態 リングの盛り土が削れ浸水被害の恐れか

目玉の大屋根リングの盛り土が海水に浸食されている

 4月13日に予定される大阪・関西万博の開幕まで1カ月を切った。旗振り役である大阪府の吉村知事は13日の会見で、開幕1カ月前の所感を問われ「せっかくやる以上、ある意味チャンス」と意気込んだが、そんな浮かれ気分に“水を差す”事態が発生している。目玉の大屋根リングの盛り土が海水に浸食されている問題だ。

 

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 万博リングは外周2キロのうち南側の約600メートルが海水に接する。万博協会はリングの内外に海水を引き入れ、内側を「ウォータープラザ」、外側を「つながりの海」と呼称。水上ショーなどを行う空間として作り上げた。

 協会によると、リング内外に注水を始めた直後の先月19日、「ウォータープラザ」側の護岸で約120メートル、「つながりの海」側で約480メートルにわたり、リング足元の盛り土が浸食されていることを確認。護岸を砕石で覆うなど、保護方法を検討中という。

 13日の参院内閣委員会で、万博準備を主導する経産省幹部は浸食について「風の影響で、水面の波の高さが想定以上に高くなったことなどが原因と(協会から)聞いている」と答弁。これに対し、立憲民主党の石垣のりこ議員は当時の大阪市内の風速に言及し、「風が吹いて波が立つことを想定できなかったと言っていることが非常に問題」と指摘した。

■“歯槽膿漏”のように土台むきだし

 協会はリングが地中約60メートルの固い地盤から伸びる杭と基礎によって支えられているとして「安全性に問題はない」と主張しているが、「想定外」に不安は拭えない。大阪府は2018年、最大風速40メートル以上を記録した台風21号に襲われ、甚大な被害を出した。建築エコノミストの森山高至氏が言う。

「水に土砂が取られる『洗掘』が生じたのではないか。万博会場周辺は海から仕切られているので、協会は『波が来ない、凪だろう』と考えて対策を怠ったのでしょう。洪水防止などの目的で河川の側面に設置する『蛇籠』で補強するのが一般的ですが、重量があるので簡単な工事ではありません。対策を誤れば、リング下の盛り土はどんどん削れ、歯槽膿漏のように土台がむき出しになる。台風や高潮によってリング下が浸水し、一部通行止めになることも考えられます」

 盛り土が削れ浸水すれば、リングの一部は海中に没する。厳島神社の大鳥居のようにそびえたてば、それはそれで「映え」そうだが……。

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