財務省が“復興増税の防衛財源転用”をめぐって福島選出の森雅子・元法相の予算委質問に圧力

スポンサーリンク
森昌子元法相 財務省

財務省が“復興増税の防衛財源転用”をめぐって福島選出の森雅子・元法相の予算委質問に圧力

与党議員が“国会裏工作”を暴露する異例事態に

 3月5日の参院予算委員会で、自民党議員が財務省の“国会裏工作”を暴露する一幕があった。福島選出の森雅子・元法相が東日本大震災の復興予算について質問する際に、こう口走ったのだ。

「私が今日の予算委員会で総理にこの質問すると言ったら、財務省が飛んできて『ちゃんとやりますから、どうか総理に質問するのはちょっと勘弁してください』と言われたので、予算委員会で何か質問して都合悪いことあるのかと思っていた」

 国会では各省庁の役人が常に政府参考人室に詰めて本省と連絡を取り合っている。そうして与野党の議員が質問に立つ前に、大臣答弁をつくるための「質問取り」に本省担当者が議員室を訪ねる。

 財務省はなぜ、森氏が石破首相に質問するのをやめさせようとしたのか。

 森氏が国会で続けて経緯をこう説明した。

「私が少し調べたところ、行政レビューで委員の先生が『復興予算を出すとしても被災地が負担したらいい』と。それを聞いて福島県民は大きなショックを受け、福島県内の新聞は一面トップに載せたが、東京では載らなかった」

 復興庁の有識者会議は震災と津波の復興事業を2025年度で終了する方針を打ち出し、昨年11月の復興関連事業を検証する行政事業レビューでは有識者の意見として、福島への交付金について「一律に国が負担している現行制度の在り方について検討するべき」と地元負担が指摘されている。

 財務省は復興増税として所得税に上乗せして徴収している税金の一部を、防衛財源に回す方針を決めている。福島の地元自治体に復興費用を負担させ、国の持ち出しを減らしたいから森氏に地元負担について質問されたくなかったようなのだ。

野党には下手に出る“ご説明”

 政府に厳しい質問をしない与党議員にまで、財務省が「質問するな」と圧力をかけていたわけである。これでは与党議員の国会質疑が“八百長”だと思われても仕方ない。

 元民主党事務局長で国会の舞台裏に詳しい政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘する。

「財務省は野党議員にも与党議員にも質問取りをするが、野党議員に『質問は勘弁してくれ』などと頭ごなしの言い方をすれば、すぐに“言論弾圧だ”と問題にされかねない。だから議員への“ご説明”の際に財務官僚は直接的な表現は避け、あくまで下手に出ながら財務省の思う方向に誘導するアプローチを取る。そうした財務省の国会工作は与野党はじめ永田町の人間ならみんな知っています。ただ、それを国会で与党議員が言及したのは初めてではないか」

 

 財務省に、森氏が言及した質問への圧力について訊くと、「ご指摘のようなやり取りがあったことは確認できておりません」(広報室)と回答。

 では、森氏は財務省による国会質疑への介入をどう受け止めたのか。見解を求めると、「今後も、財務省が何をして来ようが、復興財源について国会議員の質問権を貫き通す覚悟です」と回答した。

 自民党議員が暴露したくなるほど、財務省の増長ぶりは甚だしいようだ。

 * * *
 マネーポストWEBの関連記事《【“減税つぶし”の手口を暴く】政府物価統計では23年前と比べて「冷蔵庫は10分1」「ノートPCは47分1」に値下がり!? 財務省が都合よく利用した“物価を低く見せるトリック”》では、「年収の壁」引き上げ議論で財務省が減税潰しに利用した「物価を低く見せるトリック」のカラクリを詳報している。

※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号

コメント

タイトルとURLをコピーしました