安倍首相「日本は世界で最も手厚い休業補償」 緊急時のウソは本当にやめてください
こんな人を首相に持つ日本人の哀れさを実感させます。
安倍首相「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」というウソ
4月13日、安倍首相は日本の休業補償の充実ぶり、支援の手厚さが世界で一番であることを述べたそうだ。
本稿では安倍首相はウソをついているという立場で、ウソを「真実でないこと。また、そのことば。いつわり。」(広辞苑第7版)と定義して、チェックをしていくこととする。
正直、これまでに何度も驚かされてきたが、この発言には今までにも増して驚いた。
特にこの「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」という部分である。
労働相談、生活相談の現場にいても、いま時点で全く世界で一番支援が手厚く、補償が充実している実感はないからだ。
読者の方も世界で一番支援が手厚い国に住んでいることを実感しているだろうか。
また政府や厚生労働省から抗議が入るから補足しておくが、彼らが何もしていないというわけではない。
しかし、世界一ではないのではないか。
厚生労働省の推奨する雇用調整助成金など各種制度は、今後も適用範囲を拡大させて利用促進することに賛成であるし、緊急経済対策が今後も功を奏していけば良いと思う。
企業に対して200万円、個人事業主に対して100万円という規模の支給も控えているから、対象を過度に制限せずに大胆に実施してほしい。
ただ、4月14日の現時点で安倍首相が「世界一」だと誇れるような状況であれば、これほどの解雇や倒産はなぜ起こっているのだろうか。
なぜ生活困窮者や明日の生活に不安を抱える労働者がこれほど現場に多いのだろうか。
相談支援現場は相談者が殺到しており、その生活が逼迫(ひっぱく)しているということは何度も伝えてきた。
本当に休業補償をしている国は世界に例がなく、世界一の支援なのだろうか
実際のところ、まず休業補償を行っている国は世界に例がある。それもいくつもある。
そしてすでに実施もされている国さえある。「早期に」「迅速に」という掛け声の国はなかなか政策が実行されない。
以下、NHKの記事がわかりやすくまとまっているので、参照いただきたい。強調部分は太字にしてある。
ドイツでもイギリスでも休業補償はある。休業に対して補償を行っている国は世界に例がある。
少しだけファクトチェックをしてみても、安倍首相の発言はウソだということがわかる。
ウソだというと、言い過ぎではないか、と反論があるので、広辞苑からウソとは何かをあえて記載しておく。
大事だから、繰り返すが、嘘(ウソ)とは「真実でないこと。また、そのことば。いつわり。」(広辞苑第7版)である。
安倍首相の発言は明らかにウソである。
またアメリカでは昨日から現金支給も始まっている。スピード感がある。
補償の金額で見れば、アメリカの緊急経済対策は総額約220兆円(日本円換算)であり、とてつもない経済規模である。
日本では総額108兆円と報道されているが「真水」と呼ばれる財政出動部分(現金給付部分)は、このうち10分の1あればよい方だともいわれている。ほとんどは返済を要する貸付や支払猶予、免除などである。
世界一の支援といえば、アメリカのことを指すのではないだろうか。
「わが国の支援は世界で最も手厚い」という支援部分の意味が分からないから、この部分もウソだとは言わないが、金額で見れば世界一ではない。
総額では世界一の国の半分、真水部分でいえば、世界一と比較にもならず、OECD諸国と見比べても、残念な金額である。
ましてや、何よりも緊急経済対策による現金給付は、まだ誰一人、現実に支給されている人がいない。
支給は5月中旬以降という報道もあるが、4月末に各種支払いが生じる人々も大勢いることを考えれば、また悩みや苦しみは尽きないものだろう。
安倍首相の緊急時のウソはとても困る
安倍首相が「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」という認識では困ってしまう。
世界一の対策をしたら、もう対策をすることは無くなってしまうのではないか。
現状を肯定して満足して、周囲に喧伝してしまったら、事後策を取らなくてもよいことにならないだろうか。
現時点で世界一だというのだから。
この発言を受けた市民も「これが世界一なら仕方がない」と諦めの気持ちも生じてくるはずだ。
世界一で世界で一番頑張ってくれてこれなら仕方がないことだ、と。
残念ながら、前述したように、相談支援現場は休業補償が充実しているとも、支援が世界一だとも思っていない。
私も素人ではないので、各研究者や欧米各国の実践家らと議論しながら、日本の現状を見ている。
そのような考察と現場実践の両面において、世界各国との客観的な比較のなかで述べている。
だから、本当に安倍首相がこのような認識であれば、私の責任において認識を質さなければならない。
このままでは日本社会はより悪化してしまうという強い想いも有している。
おそらく、日本を愛する多くの市民も同じ気持ちではないだろうか。
安倍首相には世界の事例も参照し、まだ世界一だなどと傲慢にならず、謙虚で着実に対策を実行してほしい。
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